昆虫を見るとき

机の壁を蜘蛛が這っているが、私はそれを見るとき、
蜘蛛と蜘蛛以外の外界を切り離して観察していた。
 
しかしながら、生物は、もともと環境の中から自然発生的に生まれたものであるのだから、環境と生物を別個に考えるのはいささか稚拙である。
環境の一要素として眺めるのがうまい方法であると考える。
 
あの蜘蛛がずっとこの部屋にいられるのはこの部屋がそういう環境になっているからだ。さぞかし害虫を駆除してくれているのだろう。